『SOLDIER LOVE』の話。
声が上がるのは致し方ない。あれらのワードを見て何も感じない、想起しないというのはちょっと難しいんじゃないか。ヒロアカの炎上*1が記憶に新しくひやっとするし、こわいなと心配になる。
かといって、SNSで必要以上に騒ぎ立てるのもどうかと思う。現時点で何かアクションを起こしたいと考えるのなら然るべきところへ意見を送ればいいのでは。それ以外にできることがあまり思い浮かばない。グループを応援しているが故、メンバーを心配するが故だというのなら尚更自らの行いがどういう影響を生むのかについて考えた上で行動した方がよいのではないか。炎上させるのが目的なら話は別だが。
公式による楽曲説明。
「SOLDIER LOVE」は大地を鋭く力強く踏み締めるような研ぎ澄まされたTRAPサウンドに、壮大な愛と共に拳を高く掲げ、目指すべき世界へと暴れ突き進む16人の戦士の魂を込めた楽曲！
引用元：EXILE TRIBE mobileより
少なくとも自分は、この文章から「戦争」や「侵略」という言葉を連想することはない。歌詞に含まれるいくつかのワードについて過去の過ちを髣髴とさせるといわれれば否定はできないものの、公式から提示された情報を見るにSOLDIERは兵士ではなく戦士であり、掲げるのは武器ではなく拳で、日本から世界のエンタメ市場へうって出るという決意表明の曲であろう。余談だが、スラングでSOLDIERは「何かと戦う人、困難や逆境と戦う人」だそうだ。*2
「愛で磨ぐ矛」「愛で編む盾」というフレーズから戦争や侵略の意志を感じるだろうか。最も批判を受けている「神風」というワードについても、大戦で用いられる前から存在している言葉であり必ずしも神風＝神風特別攻撃隊ではない。同じく歴史上の出来事でいうと、元寇では異なる意味合いで使われている。
「確証バイアス」という言葉がある。「自分の思い込みや願望を強化する情報ばかりに目が行き、そうではない情報は軽視してしまう傾向のこと」だそうだ*3。
『SOLDIER LOVE』の歌詞は配信が開始された12/18より前、12/4からYoutubeにて全文公開されている。
その時はここまで騒ぎにならなかったことから、影響力がある（？）誰かの発信から火がついたのであろう。はたして騒いでいる人たちの何割が歌詞の全文及び公式が発信している楽曲の説明文へ目を通していることか。ほとんどはSNS上の発言だけを見て、自分の頭で考えることなく先入観で物を言ってはいないか。
言葉の孕む危うさを指摘するのは理解できる。しかしながら、公式が示唆するものではない、あくまで主観で結びつけて導き出したものを根拠に歌詞の変更等を迫るのは望ましいことなのかどうか自分には判断がつかない。
決めつけてひとつの見方しか出来なくなって、自分は正しいことを言っていると思いこむのは恐ろしいことだ。強い言葉も散見されるが、そこまでいうのであれば（それほど高い意識をお持ちであれば）「HiGH＆LOW THE 戦国」を無邪気に「ザ戦」と略しているのはどうなのか。「戦国」という単語をわざわざ分断する必要性。これまでの略し方に沿っただけで深い意味はないことは察するが、だからこそ無自覚で鈍感に思える。
荒れている様を目にすると疲れる。非常に疲れる。
今回に限ったことではないが、わざわざ突っ込まれる隙をつくる必要はない。運営は指摘や批判を受ける可能性のあるようなもの、トラブルの元になるようなものは用いないし持ちこまないという選択をできないものだろうか。広い視野と知識を持ち、注意深く物事を進められれば双方楽だと思う。今年だけで何度燃えただろう。
運営を擁護するつもりはさらさらない。かといって、「好き」だから「応援」しているから「心配」だからと糾弾に近い真似をする者にも賛同しかねる。愛を盾に何をしてもいいわけではないことを肝に銘じておきたい。
平穏に事が収まることを願う一方で、燃えるならとことん燃えればいいと思う。責任を取るのは運営だ。楽曲に触れている以上メンバーも無関係とはいえない。失敗したら反省して次へ活かせばいい。それで道が閉ざされたとしても自己責任。
一番若いメンバーも先日25歳になった。グループとしても来年デビュー7周年を迎える。立派な大人であり社会人。新人ではなく中堅。あと一歩届かない何かを掴む為に、もがいて足掻いて頑張ってほしい。
今更だけど、夢を叶えるって大変なことだな。
